今回は、「投影された宇宙」という書籍のほんの一部をご紹介させていただく。
「想像した出来事と実際の出来事を身体は必ずしも区別できるわけではないという事実。」
これを感じるような実体験が皆さんにも一度はあるのではないだろうか。
例えば、愛する人を腕の中に抱きしめることを思い描いた際に胸の鼓動が高まることはないだろうか。あるいは極端に恐ろしい体験をしたときのことを思い出しただけで手が汗ばんでくるようなことは今までに経験がないだろうか。
どちらも「今」現実には起こっていないことをイメージしただけで「身体」は変化してしまう。上述の「想像した出来事と実際の出来事を身体が必ずしも区別できるわけではないという事実。」を示す好例である。
このイメージの生理学的な影響力についての興味深い実験の記述があったため以下に紹介させていただく。
「白血球」という言葉は実際にはいくつかの異なった血液細胞のことを指している。心理学者のジーン・アクターバーグは、「人は自分の体内にある特定の血球の数だけを増やすことができるかどうか」を確かめてみようと思いある実験を行った。
以下に実験内容を記す。
大学生を①と②の2つのグループに分ける。
①のグループには白血球の中でも多数を占めている「ニュートロフィル」と呼ばれる血球のイメージを頭に描くことを教えた。
②のグループにはもう少し特殊な血球である「T型細胞」のイメージを描くよう訓練をした。
実験結果は以下のとおりである。
①のグループでは「ニュートロフィル」の数がかなり増加していたが、「T型細胞」の数には変化がなかった。
②のグループでは「ニュートロフィル」の数は同じままだったが、「T型細胞」の数は相当増えた。
この実験結果を見て、皆さんはどう感じるだろうか。
顕微鏡でなければ実際には確認することが難しいであろう小さな細胞レベルでの変化が、「イメージ」によって「意図的に」起こったという実例である。
ここからは私の個人的な感想だが、①のグループの大学生も②のグループの大学生もそれぞれ別々の人間で構成されたグループである以上、「ニュートロフィルとは」・「T型細胞とは」というような同じ教育を受けたとしても個々の頭でアウトプットとしてイメージされるそれぞれの細胞像には必ず個人差が生じているはず。
…にもかかわらず、上記のような実験結果が出た。このことは、「正確なイメージをアウトプットすること」よりも「そこに意識を向けること・イメージすること」によって発生した実験結果なのではないか。このように感じている。
施術の際に、解剖学書やエネルギーの流れを示した書籍を施術ベッドのすぐそばに置いてある意味はここにある。一手一手の施術の度に毎回私が患者さんに対して「イメージしてください。」という理由はここにある。
トレーニングにも「意識性の原則」というものがある。トレーニング自体の理解を深めて取り組むことでより効果が期待できるという原則である。これも「理解を深めること」がトレーニング自体に「意識を向けるキッカケ」になっていることが理解できるはずだ。意識を向けることでイメージが可能となり身体が変化する。何も考えずにポヤ〜ンとしていてはイメージができるはずもなく、思った通りの結果に繋がりにくいというわけである。「イメージすること」は本当に大切。
施術においてもイメージを効率よく利用するための手段として「量子力学」や「波動」、「チャクラ」などの言葉を使っているだけ。最も重要なのは「イメージすること」そのものであると私は考えている。
「私は歳だから無理です。」この言葉を日常的に使用している場合、音としてイメージが脳に刻まれる。これがどれだけ健康を損ねるか。上記の例である程度はご理解いただけるだろう。
「あなたは歳ですから、この痛みとはずっと付き合ってください。」
心ない人にこの言葉をかけられたときにどのような選択をするか。選択は自由。
これを受け入れた人が発する言葉が「私は歳だから無理です。」
自分から「私は歳だから無理です。」などと言う人は本当に稀である。
「私はそうは思いません。」という選択肢があることを忘れずに。