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「奇跡的治癒とはなにか」と「M S&I M」

今回は「奇跡的治癒とはなにか」という書籍のほんの一部をご紹介させていただく。

 

「ある疾病の最良の治療法を選ぶ段階では統計は重要であるが、いったん治療法が決定したら、統計は個人には当てはめられない。すべての患者は、どんなに障害があろうとも、自分はよくなるのだ、という信念を持ち続けるべきである。」

 

私も大いに共感する一文である。

 

「治る確率は10%だって言われました。90%の人はこのまま良くならないような怪我(病氣)なんだそうです。」

 

職業柄、このような言葉を耳にすることは臨床の現場では少なくない。(「あなたはもう治りません。歳だから。」などと心ない人に言われたとの訴えもよく耳にする。)この状況で患者が選べる選択肢は2つだけ。

 

①前者の10%を目指す。

②後者の90%を受け入れて過ごす。

 

それだけである。

 

③統計が間違っている可能性があるから、私は大丈夫。出来るだけのことをして意地でも治す。

 

当院の臨床ではこんな鋼のメンタルに出会うこともよくある。(施術者、トレーナーとしてこんなにサポートのしがいがある方々はいない。)

 

「治癒率1割」と聞くとなんだか絶望的な響きに聞こえる方もいるかもしれないが、「1割は治っている」という事実。これをどう捉えるか。

 

どんなに努力しても9割が良くならないなら「努力」が無駄になる確率が高い。ならば「努力」するのは無駄である。…こういう選択肢に心が傾く人もいるだろう。それで納得できるならば無駄な努力などしなければいい。本当に無駄になる確率が高いから。

 

この書籍にはウィリアム・カルデロンというエイズ宣告を受けた患者の回復例が示してあった。医者から6ヶ月も持たないだろうと言われ、絶望の淵にあった彼が、サイモントン夫妻(欧米で初めてイメージ療法をガンに試みた人たち)の話を聞いたことをキッカケに、

 

「病氣と闘うために瞑想を始め、闘うためにイメージを描き始めた。そして不自然な家族関係をもとに戻す努力をし、自分を傷つけた人びとを許すことで心の平和を得た。そして運動と栄養とビタミン補給で自分の体をいつくしんだ。彼の免疫力が戻り始めたのはそのころからだ。腫瘍は小さくなり始めた。死の宣告を受けてから二年、カルデロンの体からエイズの症状はすっかり消え去った。」

 

どうだろうか。このケースが大変稀なケースであろうことは私も十分に理解している。しかし重要なのは「こういうこともある」ということである。

 

 

「患者の体は、医者の考えにではなく患者自身の考えに直接反応する。」

 

これもこの書籍にある一文だが、本当に「ごもっとも」である。私も施術中に「どうやったら良くなる氣がしますか?」と患者に尋ねることがある。心身を施術者に委ねることなく、心の中に「試して欲しい施術法」がある患者はその他のどの施術法も身体が受け入れ態勢になっていないことを多くの臨床経験で痛感しているからだ。

 

「いくら医者が良いと信じていても、患者が口には出さずにその治療法を受け入れていなければ医者の治療は否定されたことになる。」というこの書籍の一文も全く同じことを記している。

 

本人が心に描く「よくなるイメージ」。それに身体は確実に反応していることを忘れずに。